自民党総裁選に立候補している小泉進次郎農相(衆院神奈川11区)は26日の閣議後会見で、陣営幹部が配信動画に好意的コメントを投稿するよう要請した対応を陳謝した。他候補への誹謗(ひぼう)中傷とも取れる文例も含まれており、「参考例の中に一部行き過ぎた表現があったことは適当ではない。知らなかったとはいえ、申し訳ない」と述べた。
関係者によると、投稿を要請したのは陣営の「総務・広報班」班長を務める牧島かれん元デジタル相(同17区)の事務所関係者。小泉氏の出馬会見を生中継する配信動画に「ポジティブなコメントを早い段階から書き込んでほしい」などとするメールを会見前日の19日に陣営内へ送った。
メールには「これは本命候補でしょ!」「泥臭い仕事もこなして一皮むけたのね」といった24種類の参考文例を記載。「ビジネスエセ保守に負けるな」と、他候補への誹謗中傷と受け取られかねない表現も盛り込んでいた。総裁選候補5氏のうち保守派とされる高市早苗前経済安全保障担当相や小林鷹之元経済安保相を意識した可能性がある。
また「やっぱり仲間がいないと政策は進まないよ」などと記載し、小泉氏以外の候補は国会議員からの支持が薄いとの印象を与えようとする表現もあった。
問題の投稿は25日発売の「週刊文春」が報じており、他陣営などからは、一般の口コミを装い商品やサービスを宣伝する「ステルスマーケティング(ステマ)」の手口に近いとの指摘が上がっていた。
小泉氏は26日の会見で「承知していたわけではない」と自身の関与を否定した上で、「他候補を批判する意図はなかったと報告を受けている。再発防止を徹底する」と強調。牧島氏は「事務所の判断で参考例を送った。私の確認不足で一部行き過ぎた表現が含まれてしまったものであり、申し訳ない」とするコメントを発表した。陣営の選対本部長を務める加藤勝信財務相は会見で「(投稿の)中身が適切かという指摘が出ていることは重く受け止めている」と語った。