自民党総裁選挙は10月4日の投開票に向けて、出馬した5候補の競り合いが一段と激化しそうな状況にある。そうした中で多くの永田町関係者が注目するのが、自民党と連立を組む公明党の動向だ。
【写真あり】辞意を表明した翌日に辞意を撤回、“ドタバタ劇”を繰り広げた公明党の幹部とは?
「保守中道」を掲げる公明党が“反保守”であることは明らか。政権安定化に向けた一部野党との“連携”協議でも、政治路線や政策での親和性がある国民民主党を重視し、優先する構えだ。
そもそも公明党は、昨秋に石破茂政権が発足して以来、石破首相と斉藤鉄夫代表との親交の深さもあって、「自公の“蜜月関係”が一段と深まった」(公明党幹部)。とくに石破首相が政権発足時に、旧安倍派を中心とするいわゆる「保守派」と一線を画す政治路線や政策運営を目指す構えを見せたことで、公明党も「自公一体化への流れを加速させるべく動き始めた」(幹部)とされる。
斎藤代表は「関与などありえない」と煙幕
しかし、過去1年間の政権運営で、旧安倍派が引き起こした「裏金事件」に対する石破首相や自民党執行部の「中途半端な対応」に加えて、与野党対立の象徴ともなった「給付か、減税か」をめぐって自民党の迷走が際立ったことが、政権運営への国民の不満・不信を急拡大させ、衆参選挙での自公大敗につながったのは疑いようがない。
そうした経緯を踏まえて、公明党が自民党凋落の巻き添えを食らい、それが党勢の後退につながったとの見方が優勢だ。だからこそ公明党は「総裁選が自らの望む結果となるよう、自公の選挙協力の前提条件などをちらつかせて圧力をかける戦略」(有力幹部)を展開しようとしている。
もちろん、斉藤代表は表向き、「総裁選への関与などはありえない」と煙幕を張る。しかし、「超保守派の高市早苗氏の当選だけは阻止したいという気持ちは強い」(側近)とみられる。全国の地方議会での自公の連携を通じて「高市氏に党員・党友票が流れるのを牽制する構え」(同)だとされており、「そのこと自体が総裁選への“陰の圧力”となる」(政治ジャーナリスト)ことは間違いなさそうだ。
公明党は今夏の参院選で自民党と共に惨敗したことで、「存亡の危機」を迎えている。
四半世紀にわたる自民党との連携の中で、安全保障・防衛政策などで自民党に寄り添ってきた結果、「平和の党」という結党の原点から大きく乖離。加えて、支持者の高齢化もあって、創価学会を母体とする「宗教政党」としての組織力が半減状態に陥っている。そのため、ここにきて党内外から「自民党の“下駄の雪”から脱却し、本来の使命である『保守化の歯止め役』に徹することが必要」(創価学会幹部)との指摘が相次ぐ。