二つの台風襲った八丈島、断水続く 一部地区の民宿「壊滅状態」

台風23号は13日昼前、東京・伊豆諸島に最接近した。9日朝に直撃した台風22号の被害もあり、八丈島の一部地域などで停電と断水が続く。復旧の見通しが立たない中、断水が解消された地区のホテルがシャワーを開放するなど、互いに助け合いながら不安な日々を乗り切っている。
東京都によると、13日午前8時時点で死傷者の情報はないが、八丈島や青ケ島で避難所が開設され、八丈島の6カ所に計350人、青ケ島の2カ所に計7人が身を寄せた。また、八丈町によると、13日時点で樫立、末吉、中之郷地区の全域と三根、大賀郷の一部が断水。一部地域で停電も続いている。
「とにかく水が出なくて困っている」。島南部の中之郷地区で民宿を経営する福田栄子さん(86)は窮状を語った。
4日ほど断水が続き、風呂やシャワーを使えない状況だという。当面の宿泊予約はキャンセルするしかなく、「営業に深刻な影響が出ている。地区の民宿は壊滅状態だ」と話した。
町によると、倒木で水源地近くの水道管が壊れている可能性があるが、土砂崩れで現場までたどり着くことができない。今後、都の協力を得て確認作業を急ぐが、復旧には1週間以上かかる恐れもあるという。
一方、水道が早くに復旧した島北西部の大賀郷地区にあるホテルは、11日からシャワーを開放し洗濯機も使えるようにした。ポリタンクを持参した人は、水道水を入れて持ち帰ることもできる。支配人の藤田治樹さん(45)は「停電が続いている地区もあり、ひっきりなしに利用者が来ている」と話した。
大賀郷地区で飲食店を経営する岩崎暁(さとる)さん(50)は13日、近くの避難所にいる島民向けに昼食を安価で提供した。「皆さん大変なので、せめておなかいっぱいになってほしい」と思いを込めた。
気象庁によると、台風23号は13日午後9時現在、海上を時速約40キロで東北東へ進み、伊豆諸島から遠ざかっているが、引き続きうねりを伴う高波に警戒が必要という。【金志尚、山田豊、加藤昌平】

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