臨時国会は、石破首相の退陣表明を受けた自民党総裁選から17日後となる21日に、ようやく召集されることが決まった。政府・自民党の当初の想定から約1週間遅れた上、首相指名選挙の日程は固まらないままだ。経済対策の裏付けとなる2025年度補正予算案を年内に成立できるかどうか、ぎりぎりの攻防となりそうだ。(荒木香苗)
「日程がタイトになっている。できるだけ時間をかけずに新政権を作り、今ある問題に対応していかなければいけない」
衆院議院運営委員会の浜田靖一委員長(自民)は15日、議運委理事会後、記者団に危機感をあらわにした。
理事会では、自民が首相指名選挙を21日に行う日程を提案したが、立憲民主党が「与党も野党もまだ(政権枠組みの)協議中だ」(青柳陽一郎筆頭理事)と反対し、合意に至らなかった。16日に改めて協議する。
自民の前執行部は当初、15日に国会召集して直ちに首相指名選挙を行い、新内閣を発足させる段取りを描いていた。今月下旬からは東京でのトランプ米大統領との首脳会談など外交日程が目白押しで、その前に新首相による所信表明演説や与野党による代表質問を終えるためだった。
その目算は完全に狂った形で、代表質問は11月4日以降に先送りされる可能性が大きくなっている。
政府・自民内では「新政権発足が遅れれば、日米首脳会談の準備にも支障を来す」(政府高官)として、想定より日程がずれ込んでいる状況に危機感が強い。自民は21日中の新内閣発足に向け、同日の首相指名選挙実施は譲らない構えだ。自民の高市総裁は、首相に就任すれば、直ちに経済対策と補正予算案の策定を指示する方針を示している。補正予算案は策定指示から国会提出まで約1か月かかるとされる。少数与党のままでは成立に野党の賛成が不可欠で、仮に連立政権が樹立できた場合でも提出前に連立相手との事前の政策協議が必要になる。
補正予算案の提出や成立の見通しが立たない中、自民は15日の議運委理事会で、会期を示すことができなかった。補正予算案の提出は12月にもつれ込むとの見方が強いが、12月下旬には26年度予算案の編成作業があり、審議日程は窮屈だ。
自民内では「野党の抵抗などにより、さらに遅れれば補正予算の年内成立は相当厳しくなる」(幹部)との声が出始めている。