悠仁さまに立ちはだかる二つの「結婚」の壁 皇室は未成年ゼロ、制度改革は議論停滞

秋篠宮家の長男悠仁さまは19歳の誕生日に「成年式」を終え、成年皇族としての一歩を踏み出された。大学在学中は学業を優先させつつ、徐々に宮中行事や公務への出席を増やしていく方針だ。
悠仁さまが活動に加わる一方、皇室は未成年がいなくなり、次の世代の「空白」が改めて浮かび上がる。皇室制度改革の議論は滞ったままで、将来への懸念がぬぐえない状況が続く。(共同通信=志津光宏)
▽重圧
9月6日午前、皇居・宮殿で執り行われた「加冠の儀」。悠仁さまの晴れの舞台を天皇、皇后両陛下と秋篠宮ご夫妻が見届けた。
ほかに参列した皇族は、両陛下の長女愛子さまや秋篠宮ご夫妻の次女佳子さまら8人。全員が女性だった。
上皇さまの弟常陸宮さま(89)は高齢を理由に欠席し、退位して公務を離れた上皇さま(91)も姿を見せなかった。
皇位継承資格を持つ男性皇族の成年式は1980年に天皇陛下、85年に秋篠宮さまが臨んだ。当時成人は20歳だった。
今回40年ぶりとなったことは、皇室にこの間、男子が誕生しなかった現実を如実に物語っている。
皇位継承順2位で、次代で唯一の資格者である悠仁さまは大学1年。皇統存続のためには結婚が大前提となる。秋篠宮さまは成年式を終えた5年後、大学の後輩だった紀子さまと結婚している。
「悠仁さまはもちろん、結婚相手にかかる重圧は計り知れない」と側近は指摘する。「お世継ぎ」問題は避けて通れず「皇室に入ろうと考える人が果たして現れるだろうか」と心配は尽きない。
▽減る皇族
悠仁さまを取り巻く将来の環境の厳しさは、結婚だけにとどまらない。
皇室典範は「女性皇族は結婚によって皇室を離れる」と規定し、皇族減少の一因となっている。佳子さまは30歳、愛子さまは23歳。結婚した場合、悠仁さまが即位する頃には周りに皇族が誰もいない可能性がある。
こうした状況を踏まえ、政府の有識者会議は2021年にまとめた報告書で、皇族数の確保策として、女性皇族が結婚後も身分を保持する案を示した。議論の場を国会に移し、衆参議長の下、各党が意見を出したが、合意への道筋はいまだ不透明だ。
宮内庁の西村泰彦長官は「国会の議論に宮内庁としてコメントする立場にない」と断りつつ「皇族数の減少は非常に大きな課題だと認識している」とくぎを刺し、制度改革の行方を注視する考えを重ねて表明している。
「残された時間は思っている以上に少ない」。側近はつぶやいた。

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする