徳川美術館(名古屋市東区)は22日、徳川幕府の十四代将軍・徳川家茂が愛用した日本刀「脇指(わきざし) 銘 来国光(らいくにみつ)」を発見したと発表した。尾張徳川家旧臣の鈴木信吉が徳川宗家から譲り受けたもので、将軍が実際に腰に差していた刀が発見されるのは珍しいという。同美術館で11月15日から開催される企画展「尾張家臣団」で初公開する。
刀は鎌倉末期(14世紀)に活躍した来派の刀工・来国光作で刃長30・3センチ、反りはわずか。付属品として「梨子地(なしじ)青貝(あおがい)亀甲文散(きっこうもんちらし)脇指拵(こしらえ)」と「桑木地(くわきじ)葵紋付(あおいもんつき)刀掛(かたながけ)」も見つかった。
将軍家の資料「刀剣帳」(写し)によると、この刀は宝永元(1704)年12月5日、五代将軍綱吉が養嗣子の綱豊(後の六代将軍家宣)に贈った刀であることが判明。さらに家茂が文久2(1862)年12月に拵を新調し、慶応2(1866)年5月に替拵が完成した旨の記録があり、今回発見された拵の外装と特徴が一致したという。
また、刀の評価額は「金二百枚」(2000両)と記され、徳川林政史研究所の深井雅海所長は「将軍家の中でも高額な刀で、家茂は相当な刀剣好きだったのではないか」と推測する。刀剣に詳しい徳川美術館の高橋哲也学芸員は「来国光は国宝が3振り、国重要文化財が21振りある名工。新発見の刀にも力強く美しい姿や刃文などの特徴があり、刀剣ファンにも注目してもらいたい」と話す。【山田泰生】