27日も各地でクマによるものとみられる人的被害が相次いで判明し、2人が死亡、2人が負傷した。
午前10時45分ごろ、岩手県一関市厳美町で「住民と連絡がつかない」と親族から県警一関署に通報があった。警察官が駆けつけたところ、この家に住む佐藤富雄さん(67)が遺体で見つかり、クマによるとみられる爪痕やかまれた痕があった。付近では、飼われていたとみられる犬1匹も死んでいた。その後、近くでクマ1頭が駆除された。
現場は水田が広がる中に民家が点在する地域。佐藤さんと青年会でともに活動していたという女性(63)は「コメと酪農を手がける専業農家で、穏やかな人だった。クマなんか見たことがない集落で、まさかこんなことになるなんて……」と声を落とした。
秋田市雄和萱ケ沢では午前11時ごろ、田んぼ沿いの側溝で、上半身の損傷が激しい女性の遺体を付近住民が見つけた。同じ頃に近くでクマの目撃情報があり、秋田県警秋田東署はクマに襲われた可能性があるとみて調べている。
新潟県上越市大島区棚岡の山林では午前8時45分ごろ、測量をしていた20代の男性2人がクマに襲われた。1人が左足首をかまれ、もう1人は右手首をひっかかれた。いずれも軽傷とみられる。クマは体長約100センチの子グマだったという。【佐藤岳幸、近森歌音、西本紗保美】