家族と断絶、闇バイトに加担…親を頼れない若者に国が新たな支援策

こども家庭庁は、家族との関係が悪く孤立したり、闇バイトに加担したりするなど、困難を抱える若者を必要な支援につなぐ新事業に乗り出す。
虐待や病気、貧困、非行歴など、さまざまな要因で行き詰まる若者は少なくない。しかし、義務教育の修了や成人した後は社会的な支援が乏しく、自立が難しくなる現状があるためだ。
支援につなぐ拠点を
親が病気で、中学生の時から家事や介護を担い、学業に時間をさけず正規の就職ができないなど、先の展望が持てずに苦しむ若者。
親との関係が悪く、居場所を求めて交流サイト(SNS)で出会った大人と接触を繰り返す若者。
その結果、闇バイトに誘われて断れずに犯罪に加担する若者――。
こども家庭庁はこうした例を挙げ、「誰に何を相談すればよいか分からないまま事態を深刻化させている」と支援の必要性を強調する。
支援につなぐ拠点として想定するのが、ワンストップで相談に対応する子ども・若者総合相談センターだ。2010年に施行された子ども・若者育成支援推進法で、自治体の体制作りが努力義務となった。
民間とも連携
しかし、25年4月時点で設置しているのは都道府県の半数、市区町村の約6%にとどまる。これまでは国の直接的な予算がなく、若者支援を担当する部署そのものが自治体にほとんどないことが背景にあるとみられる。
新事業は、センターやそれに代わる拠点の設置を促す狙いもある。
公的な相談窓口はハードルが高いと感じる人もいるため、民間と連携して居場所やイベントを運営し、若者に困りごとを相談してもらいやすい関係を作る。
また、同行支援などについて市区町村に補助金を出し、都道府県に対しては、市区町村の支援を後押しするような取り組みを補助する。26年度予算の概算要求に盛り込んだ。【黒田阿紗子】

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする