創業家のファミリー企業への不当な寄付で銀行に損害が生じたとして、スルガ銀行(静岡県沼津市)と株主が岡野光喜元会長らに総額約47億円の損害賠償を求めた訴訟の差し戻し審で、静岡地裁(日野直子裁判長)は13日、相続人を含む旧経営陣ら7人に対し、請求通り全額の支払いを命じる判決を言い渡した。
判決などによると、スルガ銀行は、美術館を運営する創業家のファミリー企業に、美術品購入資金などの名目で寄付した。しかし寄付を受けたファミリー企業は、債務超過に陥っていた別のファミリー企業の負債の穴埋めに利用していた。
訴訟で原告らは、創業家出身の岡野元会長が代表理事を務める美術館に対し、2013~17年に計47億6200万円が寄付されたと訴えていた。
判決は、13年以前の寄付金についても、債務超過のファミリー企業への融資に使われていたと指摘。このため、旧経営陣は今回の約47億円分も同様に、取締役会で示されていない目的で使われると認識できたのに、それを防がなかった注意義務違反があると認定した。旧経営陣は「寄付の真の目的は全く知らなかった」などと主張したが、退けられた。
1審の静岡地裁は請求を棄却したが、2審の東京高裁は1審判決を取り消し、審理を地裁に差し戻していた。
スルガ銀行は「当社の主張の正当性が認められた。旧取締役の法的責任が明確になった」とするコメントを出した。【藤渕志保】