クビアカツヤカミキリの食害地域5年半で5倍、22都府県311市区町村…農業・観光への打撃懸念

サクラやモモなどバラ科の樹木を内部から食い荒らす特定外来生物クビアカツヤカミキリの被害が急増している。読売新聞の調べでは、被害範囲は今月18日時点で22都府県311市区町村に及び、5年半で5倍に拡大した。2025年度の被害樹木は少なくとも4万7600本に上る。農業や観光に深刻な打撃を与える懸念があり、国は対策本部を設置して30年までに被害地域の縮小を目指す。
クビアカツヤカミキリは樹木に卵を産みつけ、幼虫が幹の内側の「内樹皮」と呼ばれる部分を食い荒らす。内樹皮は養分を運ぶ役割を担っており、食害を受けると枯死する恐れがある。
国内では12年に愛知県で最初の被害が確認され、翌13年に埼玉県、15年には群馬、東京、大阪、徳島の4都府県に拡大。国は18年、保管や輸入販売、野外へ放つことなどを禁じる特定外来生物に指定した。
読売新聞が環境省や農林水産省、関係都府県、市区町村に問い合わせたところ、18日までに311市区町村で被害が確認され、20年度末の65市町村から5倍近くに急増した。被害樹木の本数は、大阪府が最多の1万4860本で、群馬県1万3927本、和歌山県4891本が続く。
各地で駆除が試みられているが拡大を防げていない。埼玉、群馬両県では県内の9割以上の市町村に被害が広がり、サクラの名所として知られる奈良県吉野町の吉野山でも25年10月に初めて被害が確認された。大阪府内のモモ園では既に食害が発生し、今年は、山梨県甲州市のモモ園や神奈川県小田原市の曽我梅林でも被害木が見つかった。
事態を重く見た国は7月末に対策本部を設置。全国的な防除強化に乗り出し、今月11日には「防除戦略」をまとめた。今後、被害樹木の伐採や、被害未発生地域での農薬散布といった費用を支援し、「30年をめどに被害地域の縮小に道筋をつける」とする。
対策本部は10月上旬までに防除戦略に関する自治体向け説明会を開催し、被害発生地域を中心に実態把握の緊急調査を行うよう働きかける。都道府県には、主に農業者向けの指導などを盛り込んだ「総合防除計画」の策定を求める。
◆クビアカツヤカミキリ=体長約2~4センチ。黒い光沢と赤い胸部(首の部分)が特徴で名前の由来になった。最大約1000個の卵を産むなど繁殖力が強い。1回に飛べる距離は20~30メートル程度で移動能力は高くないが、車両に付着して被害エリアを広げているとされる。原産地は中国、朝鮮半島などで、国内への侵入ルートは不明。環境省によると、国内では中国産とDNAの一部が一致する個体が見つかっている。

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