知的障害者施設の職員、利用者の排せつ中の写真をLINEに…からかい目的で顔写真に加工も

千葉県船橋市の重度知的障害者向けの生活介護事業所で、職員が業務連絡用のLINE(ライン)グループに排せつ中の利用者の写真を掲載していたことがわかった。利用者の顔に、からかい目的ともとれる加工をした写真も載せていた。市障害福祉課は、虐待の可能性があるとして調査している。事業所を運営する社会福祉法人も内部調査を実施。「心理的虐待、性的虐待」に当たるとして、再発防止策を示した。
不適切な写真を掲載していたのは、船橋市の社会福祉法人「さざんか会」が運営する「ゆたか福祉苑」の職員。40歳代の同僚女性ら複数の関係者への取材で判明した。
関係者によると、ゆたか福祉苑は18歳以上の重度知的障害者が日中を過ごす通所型の施設で、現在は約70人が利用している。勤務しているのは約35人。リーダーとチーフ、スタッフ3、4人で構成する5班体制で、食事や排せつの支援、散歩など日中の生活全般の世話をしている。
証言などによると、ある班で昨年夏頃、当時チーフだった職員が計7枚の写真を業務連絡用のライングループに掲載した。男性利用者がズボンと下着を下ろして便器に腰かけている写真や、利用者の顔に垂れ目の赤いマスクのような加工をした写真などだったという。
ある同僚は「利用者をからかっている写真で、見た瞬間にダメだと思った。利用者のプライバシーを大切にしなければならないのに、排せつの写真は特にひどい」と憤る。このライングループはもともと、スタッフの欠勤など業務連絡用だった。しかし、チーフの私的内容が多く掲載されるようになって、あまり利用されなくなっていたという。
写真については今年9月、市障害福祉課が調査を始めた。「情報提供があり、事実を確認している。問題があれば指導する」としている。
利用者のプライバシー侵害に当たる写真が閲覧されていたとし、施設内では10月初旬、「人格、人権への尊重の欠如は、虐待と認識せざるを得ない」との文書が掲示された。文書は、さざんか会の宮代隆治理事長名だという。
11月には、さざんか会の虐待防止委員会がまとめた経過記録書も掲示された。撮影者を特定したことや、保護者に謝罪したことなどが説明されていたという。再発防止策として、私用スマートフォンでの利用者の撮影を禁止するなどの対策も明らかにされた。
宮代理事長は「利用者の人権を軽々しく考えた写真だ。委員会を招集して事態の把握、対応策の検討を指示し、利用者や家族に謝罪した」と話している。

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