NHK取材メモ流出 派遣スタッフが不正に持ち出し 別人がXで公開

NHKは1日、首都圏局の記者が作成した企画案やインタビュー取材のメモが記された文書がインターネット上に流出したと発表した。NHKの子会社が契約している30代の派遣スタッフが不正に局外に持ち出しており、文書は別の人物のX(ツイッター)アカウントで公開されていた。NHKは取材相手に謝罪した。
文書は計19枚。若年女性を支援する一般社団法人「Colabo(コラボ)」がインターネット上で中傷を受けた問題を取り上げる企画の概要や、かつて加害側だったという男性へのインタビューの文字起こしが記されていた。「放送希望」として「12月1日『首都圏ネットワーク』で5分程度」との記載もあった。
NHKによると、11月28日に取材協力者から担当記者に連絡があり、把握したという。NHKが12月1日に聞き取り調査をしたところ、30代の派遣スタッフが流出を認めた。スタッフは「興味本位でやった。大変なことをしてしまい申し訳ない」と認めている。スタッフはテロップの製作などを担当していた。文書は専用端末に保存されており、このスタッフにはアクセス権限が付与されていた。
スタッフは専用端末を通じて文書を印刷し、外部に持ち出した後、別の人物のアカウントに送ったという。このアカウントの持ち主がXに「こちらの記事が放送されるかもしれないとタレコミがありました」などと投稿し、文書をダウンロードできるようにした。スタッフはアカウントの主について「SNS(ネット交流サービス)の投稿を見ていたが、個人的な関係はない」と説明しているという。
NHKの担当者は「取材に関わる情報が外部に流出したことは取材対象者との信頼関係を損なうだけでなく、NHKに対する視聴者の皆様からの信頼を損なう、あってはならないことで、深くおわび申し上げます」と謝罪した。アクセス権限を早急に見直すなど、再発防止に努めるとした。【諸隈美紗稀、平本絢子】
原因や再発防止策…具体的な説明を
立教大の砂川浩慶教授(メディア論)の話
取材メモが外部の目に触れる事態の重大性を、派遣スタッフが理解していなかったということだ。「取材された内容が外部に漏れればNHKやその他のメディアの取材は受けたくない」という視聴者の不信感を増幅させかねない。ジャーナリズムの根幹に関わる問題だ。NHKの謝罪は当然だが、ただ単に頭を下げるだけでは不十分。何が原因で今回の事態が起こったのか、どういった再発防止策を取るのか。より具体的で詳しい説明が求められる。

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