茨城県内で6日、乗用車が相次いで突入した日立市役所前と東海村役場では、物が散乱するなど騒然とした雰囲気に包まれた。目撃者は「なぜ、こんなことが」「真っすぐ突入した」などと声を震わせた。
日立市役所前の広場では、障害者週間に合わせたイベントが行われていた。近くで洋服のリフォーム店を営む樋口誠治郎さん(72)は「軽乗用車2台の後ろがへこみ、1台は窓ガラスが割れていた。テーブルや椅子がひっくり返り、地面には手作りの飾りや野菜などが散乱していた」と話した。「皆『何が起きたんだ』と右往左往し、青ざめていた。なぜこんなことが起きたのか。信じられない」と、動揺を隠せない様子だった。
イベントを訪れた50代女性によると、買い物を終え、近くの交差点にいた時に「ドスン」という音がした。振り向くと「キャー」という悲鳴と、「バリバリ」という鈍い音が聞こえ、直後に出てきた黒い車が対向車線を逆走し、信号を無視して走り去った。広場に戻るとイベントブースがなぎ倒され、巻き込まれた被害者が顔面蒼白(そうはく)で大勢の人に囲まれていた。呼び掛けにはかすかに反応していたという。
女性は「交差点で見た(運転する)男がとても平然として冷静に見えたのが怖かった」と振り返った。
約30分後に別の車が突っ込んだ東海村役場。当時議会棟にいたという村議の江田五六さん(74)は、救急車のサイレンの音を聞いて現場に駆け付けた。車は正面玄関の扉を突き破って庁舎の中で停止し、周辺にガラス片が散乱していたという。「こんなの議員生活で初めてだ。真っすぐ突入していて、踏み間違いとは思えない」と話した。
庁舎2階にいたという男性職員(52)は「『ドーン』という音がして、衝撃とガラスが割れる音が聞こえた。びっくりの一言だ」と語った。
[時事通信社]