自民党派閥による政治資金パーティー収入の過少記載疑惑に対し、与党内で懸念が拡大している。組織的な裏金作りが疑われている安倍派の歴代事務総長が説明を避けており、連立を組む公明党からも苦言が出ている。野党は8日に開かれる衆参予算委員会の集中審議で徹底追及する構えだ。
「大変ご心配をおかけしている」
自民の茂木幹事長は5日、国会内で開かれた公明との幹事長・国会対策委員長会談で、疑惑が解消に向かわない事態を陳謝した。公明の石井幹事長は「国民は非常に厳しい反応だ。しっかり対応してほしい」と苦言を呈した。
公明が不満を募らせている背景には、安倍派の事務総長経験者が疑惑の説明に及び腰なことがある。松野官房長官は5日の記者会見で「政府の立場でコメントは差し控えたい」と繰り返し、西村経済産業相も「今は政府の立場だ。派閥で精査をしてもらうことが大事だ」と回答を避けた。
事務総長は派閥を取り仕切る立場で、自民内にも「事務総長経験者が説明しないなら誰がするのか」(中堅)との声がある。公明の佐藤茂樹国対委員長は5日、記者団に「精査中とか政府の立場では言えませんというのでは、誰一人納得できない」と批判した。
安倍派は組織的な裏金作りを疑われており、東京地検特捜部による事務総長経験者の事情聴取の可能性も取りざたされている。現事務総長の高木毅国対委員長は5日、記者団に「まだ全くそういう話はない」と否定した。その後、松野、西村両氏と国会内で会談。同日夜には西村氏ら安倍派幹部が派閥の元会長である森喜朗・元首相と東京都内で会食した。今後の対応を協議したとみられる。
これに対し、立憲民主党の安住淳国対委員長は5日、「キックバック問題が常態化しているとなるとかなり悪質性がある」と指摘し、「自民党として分かる範囲で派閥から報告を受け、この国会中に明らかにしてほしい」と述べた。
共産党は同日、企業・団体による政治資金パーティー券購入を禁止する政治資金規正法改正案を参院に提出し、自民をけん制した。