大阪府が府民の生徒を対象に、2024年度から段階的導入を目指す所得制限のない高校授業料無償化を巡り、大阪など近畿5府県の全日制私立高校計107校が府の新制度に参加する見通しとなった。21日、府が集計(同日現在)を発表した。府は近隣府県に新制度への参加を呼び掛けていたが、大阪以外の私学団体が「拒否」を表明。大阪は95校中94校が参加する一方、大阪以外の参加は4府県13校にとどまった。
大阪以外で参加するのは、和歌山が全9校中8校と最多で、智弁学園和歌山(和歌山市)、近畿大付属和歌山(同)など。兵庫は全51校のうち、武庫川女子大付属(西宮市)と百合学院(尼崎市)。奈良は全15校のうち、智弁学園(五條市)と智弁学園奈良カレッジ(香芝市)。京都府は全39校中、京都西山(向日市)のみ。滋賀は全11校が不参加だった。
そのほか、検討中が兵庫で20校、京都で2校、和歌山で1校あるが「25年度以降」と回答した学校も含まれるという。
大阪府の新制度は、生徒1人当たり年63万円を「標準授業料」(補助上限)と定め、保護者の世帯年収に関わらず超過分を学校側が負担する仕組みで、26年度に完成する。大阪以外で参加表明した13校のうち11校は、22年度の年間授業料が63万円を下回っていた。
大阪以外の私学団体は、大阪府の制度設計は授業料の統制に当たるとして「断固反対」を表明。「(補助の)上限を超えた学校では大阪府から入学した生徒が他の生徒の授業料で教育を受けることになり、不公平」などと指摘していた。【戸田紗友莉】