日本画の巨匠、東山魁夷(1908~99年)の自宅(千葉県市川市中山1)の土地と建物の所有権を巡る訴訟で、最高裁第3小法廷(宇賀克也裁判長)が13日付で遺族の上告を退ける決定を出していたことが判明した。これで、2審・東京高裁での市川市の勝訴が確定した。
所有権を巡っては、同市が魁夷の妻(故人)の生前、寄付を受けたとして近隣に東山魁夷記念館を建設。また、自宅を公開するなどの整備計画を策定した。しかし、妻の遺族7人が所有権の移転登記をしたことから、同市が2020年8月に東京地裁に所有権の確認を求める訴えを起こした。
1審・東京地裁では、贈与契約書があるとして遺族1人が勝訴。2審では、その贈与契約書は偽造されたものと判断し、同市が逆転勝訴していた。
建物では魁夷が1946年から99年に亡くなるまで50年以上暮らした。敷地は約1000平方メートル、アトリエを備え、木造2階建て延べ床面積は約340平方メートル。【石塚孝志】