警察庁などは25日、2023年1~11月のインターネットバンキングでの不正送金被害(暫定値)が5147件、被害額約80億1000万円に上ると発表した。統計のある12年以降の通年で既に過去最悪という。金融機関を装った偽の「フィッシングサイト」に入力したことで盗み取られたIDやパスワード(PW)が使われているとみられる。三菱UFJ、三井住友、みずほの3メガバンクの被害が多いといい、警察庁などが注意を呼び掛けている。
警察庁によると、偽サイトに誘導するメールやショートメッセージサービス(SMS)には「不正アクセスがあった」「個人情報が漏えいしている可能性がある」「取引が停止された」といった不安をあおる文面が記載されていることが多い。併記されているURLをクリックすると、偽サイトにつながる仕組みで、入力したIDやPWが不正に使われているとみられる。
警察庁によると、これまでに最悪だったのは被害件数が14年の1876件、被害額が15年の約30億7000万円。23年は11月までで共に2・5倍超となっており、被害額のうち47%、件数で39%を3メガバンクが占める。6月まではネット専業銀行や信託銀行の被害が多かったが、3メガバンクの被害が増加した要因は不明という。被害者の年代別の割合は、50代23%▽60代20%▽40代18%――の順に多い。
警察庁などは、金融機関の公式ホームページや公式アプリを確認するよう注意喚起している。【松本惇】