甘利明・前幹事長が安倍派一掃人事で暗躍か…自民「裏金事件」で復権のブラックジョーク

自民党の派閥パーティー裏金事件で東京地検特捜部の捜査を受けている安倍派が一掃されたが、新たな人事で意外な人物が注目を集めている。
22日に来年度予算案が閣議決定されたのに合わせ、萩生田前政調会長と高木前国対委員長が辞任。後任として、ともに無派閥の渡海紀三朗政調会長、浜田靖一国対委員長という人事が総務会で了承された。既定路線だった浜田氏はともかく、事前にまったく名前が挙がっていなかった渡海氏が要職に就いたことには驚きの声が上がっている。
「党内では、政調会長代行の田村憲久さんが昇格するとみられていた。派閥政治に厳しい目が向けられているタイミングなので、無派閥議員の中から選んだのでしょうが、それにしても、長く要職と縁遠かった渡海さんが党4役に抜擢されたことは予想外でした」(自民党中堅議員)
渡海氏自身も驚いたそうで、岸田首相から電話で打診された当初は「ちょっと待ってください」と保留したという。
1986年初当選の渡海氏は当選10回を重ねるベテランだが、2007年に福田康夫内閣で文科相を務めたのが最初で最後の入閣で、党内でも地味な存在だ。18年と20年の総裁選では初当選同期の石破元幹事長の推薦人に名を連ねた。
そんな渡海氏を政調会長に抜擢したのは、甘利前幹事長のプッシュがあったからだという。渡海氏は、甘利氏が11年に結成した派閥横断型グループ「さいこう日本」のメンバーなのだ。
利権を一手に…「甘利さんの実権はすごい」
甘利氏の暗躍は、安倍派一掃で交代した4閣僚の人選にも透けて見える。後任に選ばれた斎藤健経産相と坂本哲志農相も、別名「甘利グループ」の「さいこう日本」メンバーだ。すっかり表舞台から姿を消したように見える甘利氏が、裏では復権を遂げつつあるのか。
「党内での甘利さんの実権はすごいですよ。党税調幹部や、経済安全保障推進本部長などを務めて大企業への影響力を手中にしている。衆院議長に就任した額賀さんの後を受けて、10年ぶりに交代した自動車議連の新会長になって新たな利権ポストも得た。総理が安倍派排除で麻生副総裁への依存を強めている以上、麻生派に所属する甘利さんの影響力は増す一方でしょう」(麻生派関係者)
だが、甘利氏といえば裏金疑惑だ。大臣室で現ナマを受け取って特命担当相を辞任し、睡眠障害を理由に国会から逃げていた過去を国民は忘れていない。
21年の岸田政権発足で幹事長に抜擢されたが、「政治とカネ」問題が再燃し、直後の総選挙では自民党の現職幹事長として初めて小選挙区で敗北。そういう輩が裏金事件を機に復権なんて、悪い冗談としか思えない。

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする