自民党派閥の政治資金パーティーを巡る政治資金規正法違反事件で、「清和政策研究会」(安倍派)では20年以上前から所属議員側にパーティー収入のノルマ超過分をキックバック(還流)していたことが関係者への取材でわかった。東京地検特捜部は同派幹部に対する任意の事情聴取などで、還流分を政治資金収支報告書に記載しなかった経緯などを確認している。
特捜部が萩生田光一・前党政調会長(60)から事情聴取したことも判明。既に松野博一・前官房長官(61)、高木毅・前党国会対策委員長(67)、世耕弘成・前党参院幹事長(61)、塩谷立・元文部科学相(73)からも聴取しており、同派幹部5氏は「還流は知っていたが、派閥の収支報告書に記載がないことは知らなかった」などと不記載への関与を否定したという。
安倍派では、パーティー収入のうちノルマ超過分を議員側に還流させる一方、派閥側、議員側双方の収支報告書に記載せず、不記載額は公訴時効にかからない直近5年間で計約5億円に上る疑いがある。複数の安倍派関係者によると、同派が2000年代初頭に小泉純一郎首相(当時)の出身派閥として所属議員が急増した頃には還流の仕組みが存在し、以後続けられてきたという。
特捜部は、18年分以降の収支報告書を作成した同派の会計責任者について、還流分を記載しなかった同法違反(不記載、虚偽記入)容疑で立件を検討しているが、より長期にわたって不記載が続いていた疑いもあるとみて調べている。