1日午後に起きた地震で最大震度7を記録し、大津波警報が発令された石川県。新年を祝う気分から一転、余震が相次ぐ中、人々が避難所に集まり、不安な夜を迎えた。道路陥没や火災が発生しているほか、家屋の倒壊や断水もあり、自治体などが被害の全容確認を急いでいる。
震度7を観測した志賀町に住む自営業の女性(61)は、自宅近くの仕事場で揺れに襲われた。「立っていられず壁や柱をつかんで、やっと体勢を維持できた。縦にも横にも激しく揺れた」と振り返った。自宅に戻ると窓が割れ、倒れた家具で足の踏み場がない状態。近所では1軒が完全に倒壊し、瓦が落ちたり、柱が傾いたりした家も見えた。
避難先の近くの中学校では、各教室に20~30人がいるという。女性は「揺れが収まらず、怖い。いつまで続くのか。帰省している人も多いので大変」と声を震わせた。
同町のホテル従業員の女性は「建物がつぶれるんじゃないかという、これまでにない恐怖を感じた。外でも大きな音が聞こえた」と振り返った。施設内で配管から水漏れが起きているという。
中心部で火災が発生した輪島市の飲食店経営山下章滋さん(59)は、「空が赤くなっているのが見え、こげくさい臭いもする。火の手は広まっていて、消防も間に合っていない」と話した。店の外では交差点の信号機が倒れ、道路も至る所で陥没したり、隆起したりしているという。「今までと比べようにならないひどさ。全てにおいて不安だ」と漏らした。
能登町にある介護施設では、入居者に大きなけがはなかったが、棚が倒れて割れた食器などが散乱。ガスボンベも倒れ、断水しているという。男性職員によると、賞味期限切れで非常食を処分したばかりで、食料や医療面での不安を募らせている。「田舎だから高齢者を受け入れてくれる避難先なんてあるか」と沈んだ口調で話した。
「警報が出ていたので、みんな走ったり、車に乗ったりと慌ただしかった」。自宅リビングで激しい揺れに襲われた小松市の会社員男性(24)は、「お正月で家族でくつろいでいたが、木がきしむ音がミシミシと聞こえ、大きなタンスが倒れるんじゃないかと怖かった」と話した。
近所では木造住宅で火事も起き、臭いもしたという。家族にけがはなかったが、「地震の影響がどれだけ続くか分からないので不安」と漏らした。
[時事通信社]