成人年齢は18歳なのに 成人式では20歳が多い理由とは

8日は成人年齢が18歳に引き下げられてから2回目の成人の日。ところが多くの自治体は成人式の対象年齢を20歳のままにしており、対象年齢を引き下げた自治体にも対象を20歳に戻す動きが出ている。その理由とは?
2023年に成人式の対象を18歳に引き下げた大分県国東市は、24年から対象を20歳に戻し、1月7日に同窓会形式の「20歳のつどい」を開催した。
22年4月施行された改正民法で成人年齢が18歳に引き下げられたことを受け、国東市は「成人としての自覚と責任を促したい」と昨年5月に18歳を対象とした成人式を開催。19歳と20歳を対象にした式典もそれぞれ開いた。
ところが、出席者にアンケートを実施したところ、「高校を出たばかりで実感がない」「お酒が飲めない」などと18歳での式典開催に不満が相次いだ。このため国東市は成人式の対象を20歳に戻し、すでに成人式を実施した対象者については、実行委員会が主催する同窓会形式で開催することにした。
成人式の対象年齢を段階的に引き下げ、昨年1月に19歳の成人式を開催した北海道別海町も、対象を20歳に改めた。町内の高校生に実施したアンケートでは、18歳での開催に「反対」の意見が8割に上ったという。
一方、三重県伊賀市と宮崎県美郷町は今年も18歳の成人式を継続する。18歳は高校3年生にあたり、受験や就職活動を控えていることに配慮し、伊賀市は5月のゴールデンウイーク中、美郷町は8月のお盆の時期に式典を設定している。
伊賀市が公開しているアンケートでは、参加者からは「大学に進学したばかりで経済的に苦しい」「18歳開催に反対する署名が多く集まったのになぜ強行したのか」といった意見も散見される。
一方、伊賀市はホームページで「周りの大人たちに守られてきた子ども時代を終え、新成人たちが社会的な責任を持ち、大人の社会へ仲間入りすることを自覚する。また、社会が新成人を祝福し、成人として扱うことを確認する節目として行うのが『成人式』です」と説明し、民法上の成人年齢を重視する姿勢だ。
美郷町も同様に20歳での開催を望む声は寄せられているというが、対象者に説明会を開くなどして「一定の理解は得ている」と話している。
成人式は「同窓会」の役割も
成人の日は、「国民の祝日に関する法律」(祝日法)で「おとなになったことを自覚し、みずから生き抜こうとする青年を祝いはげます」ための祝日と定められている。
かつて男子の元服や女子の裳着(もぎ)が1月に開かれることが多かったことなどから、1948年の制定当初は1月15日と定められた。その後、98年の祝日法改正で「1月の第2月曜日」に改められた。
一方、成人式は、法律による規定はなく、開催の有無や対象年齢は各自治体がそれぞれ判断している。多くの自治体が20歳で成人式を開催するのは、成人式を「人生の門出を祝う」「成人としての自覚を促す」場としてだけでなく「同窓会の機会」と位置づけているためのようだ。
法務省が22年1月に公表した、自治体関係者へのアンケート調査によると、成人式の年齢を20歳または21歳とする理由について、「18歳の1月に実施すると、受験と重なり、出席者が減少するから」との回答が72・6%を占め最も多かった。
この他、「対象者が集まりやすいから」(39・1%)、「20歳または21歳で実施することを希望する者が多かったから」(37・6%)、「進学や就職から少し時間をおいて成人式を実施することにより、さまざまな経験を友人と共有することができるから」(29・5%)などの声が上がっていた。
総務省の推計では、24年の元日を18歳で迎えた人は106万人(男性55万人、女性52万人)と、昨年より6万人減少。この推計を開始した68年以降では、新成人の人口は70年の246万人(当時は20歳)のピークに対し、24年は約4割に減少し、過去最低を更新した。【嶋田夕子】

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