能登半島地震で大きな被害を受けた石川県珠洲(すず)市の避難所で、子供たちが他の被災者らを元気づけようと壁新聞を作り続けている。体調維持のための体操を手書きのイラスト付きで紹介したり、炊き出しの人気メニューを発表したりと、楽しく読めるよう工夫。子供たちは「みんな大変なので私たちもできることを頑張りたい」と笑顔を見せる。
同市正院(しょういん)町の正院小に開設された避難所で作られている「正院ひなん所新聞」。身を寄せている小中学生12人が1月4日から“発行”を始めた。第1号では炊き出しの案内や紙パンツなど物資の配布情報などを掲載。5日には風邪をひいている人が出たことを伝え、この日までの炊き出しの中からおいしかったメニューについて年齢層や男女比のバランスを取りながら40人ほどに実施したアンケートの結果、カレーライスが一番人気だったと紹介した。
日々の掲載記事は、大人のアドバイスを受けながら“編集会議”をして決める。1時間半ほどをかけて4枚の模造紙(横約1メートル、縦約80センチ)にフェルトペンで文章やイラストを書き、ハートの形などに紙を切り貼りして完成させる。避難者からは「イラストにほっこりする」「子供たちが頑張ってくれて頼もしい」との感想が聞かれた。
8日に第6号の壁新聞を作った同市立緑丘中1年の女子生徒は「注意書きだけだと面白くないので楽しい内容も載せるように意識しています」と話す。別の女子生徒も「この避難所はお年寄りが多いので、若い私たちが動かないといけない」と力を込める。
避難所には最も多い時で車中泊も含め約700人が滞在し、8日現在で約260人が暮らす。子供たちは被災者と一緒に体操やゲームをすることにも積極的に取り組んでいる。避難所のリーダー、浜木満喜さん(76)は「子供たちが避難所を元気にしてくれている」と話した。【阿部弘賢】