パーティー券購入者公開額を20万円超から引き下げへ…自民、派閥の人事関与禁止で調整

自民党は、派閥の政治資金規正法違反事件を受け、政治資金規正法を改正し、政治資金パーティー券購入者を政治資金収支報告書に記載する基準額について、現在の20万円超から引き下げる方針を固めた。派閥に関しては、閣僚などの人事への関与を禁止するなどの見直しを行う方向で調整を進めている。
複数の自民関係者が明らかにした。岸田首相(自民総裁)が党内に設置した「政治刷新本部」の議論では、政治資金と派閥のあり方が焦点となっている。
パーティー券購入者の氏名などの公開基準額を巡っては、公明党は5万円超を主張しており、具体額を与野党の協議で詰め、規正法改正案を26日召集の通常国会で成立させたい考えだ。
現行制度では、個人からの寄付は年間5万円超で、氏名や金額などの記載が義務づけられている。パーティー券購入の透明性の低さが不正の温床になっているとの指摘があり、規制強化は避けられないと判断した。
規正法は1948年に議員立法で成立し、パーティー券購入者名の公開基準額は94年の改正で、100万円超から20万円超に引き下げられた。公明は会計責任者が有罪になれば、議員も公民権停止などの対象となる「連座制」の導入も求めており、今後調整を急ぐ。
一方、派閥については、無派閥の菅前首相らが「解消」を唱えている。自民内では、今回の事件は、派閥が人事ポストの配分や、政治資金集めを重視しすぎたために起きたとの見方が多い。人事では、慣例となっている内閣改造・党役員人事などでの派閥からの推薦名簿の提出などを取りやめる方向だ。党のガバナンスコード(統治指針)で、禁止を定める案が有力となっている。
さらに、現在は自粛している派閥の政治資金パーティーを禁止し、所属議員への資金配分も取りやめる案も浮上している。
首相は人事、資金の両面で派閥の見直しを進め、議員が集まって政策を磨く「政策集団」としての原点に立ち返らせたい意向だ。最終的に「派閥解消」にまで踏み込むかどうかは、党内情勢や世論を見極め、最終判断する。
刷新本部の16日の会合は全所属議員を対象に開かれ、約150人が出席した。首相は「国民の信頼を回復するために議論を深めなければならない」と述べた。25日にも中間取りまとめを決定する見通しだ。

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