紫外線を当てると光るように遺伝子を組み換えた熱帯魚のベタを無許可で販売したとして、東京都江戸川区の熱帯魚店経営者の男と、妻で店長の女が逮捕された。警視庁が17日に発表。2人は昨年、タイから遺伝子組み換え「ベタ」を輸入し、1匹数千円から3万円で販売。遺伝子組み換え生物等の飼育を規制するカルタヘナ法違反の疑いがある。
観賞用として愛好家が多いベタは約1000年前から品種改良されてきた歴史を持つというが、どんな魚なのか?
「体内に特別な器官を持っていて水面から口を出して呼吸できるので、大きな水槽や空気ポンプを使わなくても飼育でき、狭いスペースでも飼育できることから人気の熱帯魚です。色や模様のバリエーションが豊富でコンテストも開催されている」(都内の熱帯魚店関係者)
光る魚といえば、昨年3月に光るメダカを販売したとして逮捕者が出ている。このときは東京工業大学の元大学院生が、研究室から遺伝子組み換えで光るメダカの卵を持ち出して市場に流通させたものだった。今回も調べに対し「違法だと認識していた」と話しており故意の可能性が高いが、故意でなくてもカルタヘナ法をすり抜けて光る魚が国内で流通する可能性はあるという。
「熱帯魚の飼育は東南アジアが本場で、野生下で珍しい色の個体が見つかると繁殖させて増やす高い技術を持っています。そのため国内の業者は問屋を介して東南アジアから買うことが多いんですが、どういうわけか中には遺伝子組み換えとみられる光る熱帯魚が交じっていることがあるんです。問屋を通せば水際で防いでくれますが、直輸入の場合だと水際での阻止が難しい」(同)
万が一、こうして輸入された遺伝子組み換え個体が野外に流出すると遺伝子汚染が起こり、生態系に影響を及ぼすことになる。それだけに遺伝子組み換え生物の取り扱いは、生物多様性の観点から難しい問題をはらんでいる。