少雨で水位低下、ワカサギ釣り大会中止…運営団体「こんな湖は見たことがない」

山口県下関市豊田町の豊田湖で半世紀近くにわたり開かれ、2月に予定されていたワカサギ釣り大会が、少雨による水位の低下の影響で中止されることになった。今月中旬以降の雨で水位はやや回復して27日から釣りはできるようになったが、準備が間に合わないため大会は開かない。主催者は「新型コロナウイルス禍も抜け、5年ぶりの通常開催となるはずだったのに……」と肩を落としている。(相良悠奨、谷口善祐)
昨年12月8日から立ち入りが禁止されていた湖の桟橋は27日朝に開放され、再開を待ちわびた釣り客たちがさおを出した。この日、180匹以上釣ったという山口市嘉川の会社員(60)は、「立ち入り禁止前に頻繁に来ていただけにうれしい。ただ、釣り大会は毎回楽しみにしていたので残念」と語った。
豊田湖は、工業用水や生活用水を供給する木屋川ダムのダム湖。ワカサギ釣りの名所として知られ、福岡、広島など近県からも釣り客が訪れる。シーズン最盛期の1~2月は、好スポットである桟橋に早朝から多くの愛好家が並ぶ。
釣り大会は約50年前に始まった恒例行事で、毎年100人以上が出場している。2019年は過去最多の約170人が参加したが、20年は大会直前に起きた事故で、21、22年は新型コロナの影響で、それぞれ中止した。昨年は人数を制限して開催し、今年は5年ぶりの通常開催となるはずだった。
ところが、昨夏頃から続く少雨の影響で水位が低下し、今月中旬までは例年より10メートルほど浅い状態になっていた。桟橋の管理や大会の運営を行う豊田湖畔公園管理財団の綿貫正樹さん(65)は「水位の影響で大会が開けないのは初めて。こんな湖は見たことがない」と語る。
水面に浮く桟橋は一部が陸地に乗り上げ、傾いて危険な状態になっていたため、同財団は立ち入りを禁止していた。20日頃からの雨や雪で水位が上昇して桟橋が再び浮いたため利用を再開したものの、釣りシーズンのピークとなる2月上旬まで時間がないため、大会は開けないという。
桟橋の利用は再開できたが、今後も雨が少ない季節が続く。水位が下がれば、再び桟橋の利用を中止する可能性もあり、市豊田総合支所地域政策課の担当者は「今後も雨が続き、安定した水位が保たれることを願っている」と語った。

県内では昨夏からの少雨で水不足が生じている。
豊田湖の貯水率は昨年12月20日に35・1%まで落ち込んだ。今月26日には54%まで回復したが、下関市は今後も貯水率が下がる可能性があるとして、市民に節水への協力を呼びかけている。
周南市の菅野ダムや島地川ダム、山口市の佐波川ダムの貯水率も33~52%(26日時点)と平年を大きく下回り、企業や自治体が節水や取水制限を始めている。県生活衛生課の担当者は「現時点で具体的な影響はないが、深刻化すれば夜間の断水などが必要になる可能性もある」と話す。

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