兵庫県稲美町で令和3年11月、民家が全焼し小学生の兄弟が死亡した事件で、殺人と現住建造物等放火の罪に問われた兄弟の伯父で無職、松尾留与(とめよ)被告(53)の裁判員裁判が31日、神戸地裁姫路支部(佐藤洋幸裁判長)で開かれた。被告人質問が行われ、松尾被告は兄弟の両親への謝罪の気持ちについて「一切ない」と述べた。
被告は弁護人に事件への認識を尋ねられると、「死刑になるぐらい罪深い事件だと思う」と説明した。一方、動機について、両親らとの同居生活に不満を抱いていたとし、「あいつら(兄弟の両親)の一番大切なものを奪って、俺の苦しみをわかってもらいたかった」「あれしか方法がなかった」と主張。法廷で両親が悲しんでいるようには見えなかったとして、「やった意味がなかった」とも述べた。
検察官に両親に対する謝罪の気持ちについて尋ねられた際には「一切ありません」と答えた。事件後に、新聞記事で事件に関する報道を確認し、両親が泣き叫んでいたことなどを知った際には「正直『やった』」と思ったなどと述べた。