なぜ震度7よりも震度6の地域で死者多数?能登地震で家屋倒壊をもたらした特徴的な“揺れ方”は首都直下でも【サンデーモーニング】

能登半島地震の発生から1か月。多くの犠牲者を出した家屋の倒壊をもたらしたのは、単純に震度の大きさだけではないことが分かってきました。住宅に壊滅的な被害をもたらした特徴的な揺れ方とは?首都直下地震でも想定される同様の「揺れ」に備えるために必要な対策とは?手作り解説でお伝えします。
死者「2人」と「101人」の差は?
能登半島地震の死者は240人。津波や土砂崩れでも死者は出ましたが、多くは建物の倒壊が原因です。なぜここまで建物の被害が拡大したのでしょうか?単純な揺れの強さ、つまり震度の大きさだけではないことが分かってきました。
例えば、震度6強だった珠洲市では3分の1以上の住宅が全壊し、死者は101人に上りましたが、さらに大きな震度「7」が観測された志賀町の死者は2人です。この差をもたらした要因の一つに、揺れ方の違いがあるのです。
揺れの「周期」による被害の違い
模型を使って説明します。ゆっくりとした揺れだと、低い建物はあまり揺れませんが、高い建物は大きく揺れます。
一方、小刻みな揺れだと、低い建物の方が大きく揺れます。揺れ方の違いで建物へのダメージが変わってくるのです。
地盤の固さや震源からの距離、そして地震の規模を示すマグニチュードによって、さまざまな揺れ方が起きるのですが、珠洲市では、住宅などの比較的低い建物に強いダメージを与える揺れが起きていたのです。その揺れ方は、「周期が1~2秒の揺れ」だったといいます。
危険な揺れ方は今後も…
耐震や防災に詳しい名古屋大学の福和伸夫名誉教授によりますと、この「1~2秒周期」の揺れ方は、マグニチュード7クラスの地震で発生しやすく、今回の地震もマグニチュードは7.6でした。
7.3だった阪神大震災や、熊本地震などでもこの「1~2秒周期」の揺れが起き、多くの建物が倒壊しています。いつ起きてもおかしくない首都直下地震で想定されているマグニチュードも7クラスです。
揺れで死なないために…まずは耐震化
建物の倒壊被害を防ぐためには、やはり、重要なのが耐震化です。しかし、今回の被災地は過疎化・高齢化が進み耐震化が進んでいない地域でした。
福和教授は「人命を救うためにも、すぐに救援が難しい過疎化が進んでいる地域などでは、国の負担で耐震化を進めることも検討すべき。コスト面でも倒壊した建物を直すよりも、事前に耐震化するほうがはるかに安く済む」と指摘します。
大地震の後に倒壊した建物を直すよりもはるかにコストがかからない耐震化とは、具体的にどんなことを指すのでしょうか。
例えば、建物に筋交いという補強資材を入れるだけでも、何もしていない建物と比べ揺れに対して強くなります。
耐震化すれば、地震で命を落とす可能性はぐっと下がりますので、次の地震に備え、全国で耐震化が進むことが急がれます。
(「サンデーモーニング」2024年2月4日放送より)

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