「打ち上げ成功の確定時は、管制室でよっしゃと叫び、笑いながら泣いていた」。日本の次世代主力ロケット「H3」の2号機打ち上げを17日に成功させた宇宙航空研究開発機構(JAXA)の責任者、岡田匡史プロジェクトマネージャ(62)は同日午後、鹿児島県南種子町の種子島宇宙センターで産経新聞の取材に応じ、喜びの瞬間をこう振り返った。
昨年3月に失敗した初号機の打ち上げは、原因究明と対策がなかなか進まない時期もあり、「本当にしんどかったが、頑張って取り組む仲間の姿に突き動かされ、なんとかやり抜いた」という。だからこそ、成功の喜びはひとしおだった。
ロケット打ち上げは、一度発射したらもうやり直せない。「その難しさを乗り越え、成功させたときの達成感が一番の魅力だ。好きなことなら、どんな困難も乗り越えられる」と目を輝かせる。
そして、若い人たちに向けて「まず何か好きで夢中になれることを見つけてほしい。見つけること自体が楽しいし、それにチャレンジして困難を乗り越えると、さらに遠くの世界が見えてくる」とメッセージを送った。
岡田さんは、ロックやポピュラーの曲をピアノで弾くのが趣味で、約15年、毎週レッスンに通っている。打ち上げ準備期間は全くピアノに触れられなかったが「成功で時間が取れそうだから、英国のロックバンド、クイーンの『ボヘミアン・ラプソディー』を思い切り弾きたい」と笑った。
(伊藤壽一郎)