徹底抗戦の方針貫けなかった立憲民主、「腰砕け」の対応に…反発招いたフィリバスター

2024年度予算案は2日、異例となる「土曜国会」を経て衆院を通過し、今年度内の成立が確実となった。大きなヤマを越えた政府・与党には 安堵 の声が広がった。立憲民主党は当初の徹底抗戦の方針を貫けず、「腰砕け」の対応となった。
「年度内の成立が確実なものでないならば、被災自治体においても備えをしなければならない。石川県の馳浩知事から『安心して復興・復旧に取り組むことができる』という言葉もいただいた」
岸田首相は2日の衆院本会議で予算案が可決された後、首相官邸で記者団にほっとした表情で語った。予算案には能登半島地震の復旧・復興のための予備費1兆円が計上されており、予定通りの執行が確実となった。
首相は予算案の年度内成立が確実となる2日までの衆院通過に強くこだわった。不測の事態で年度内成立ができず、党内の求心力が低下する事態を避けたい考えもあったとみられる。首相自ら衆院政治倫理審査会に出席するという過去に例のない対応を取ったのは、首相の強い思いの表れだった。
立民は予算案の2日までの衆院通過を阻もうと、1日、小野寺五典・予算委員長(自民党)の解任決議案と、予算案の担当閣僚である鈴木財務相の不信任決議案を衆院に提出するなどしたが、抵抗戦術は1日だけで取りやめた。
きっかけは、小野寺氏の解任決議案が議題となった1日の衆院本会議で、立民の山井和則衆院議員が行った2時間54分の趣旨弁明演説が不評だったことだ。
長時間にわたって演説するフィリバスター(議事妨害)に、日本維新の会と国民民主党は「昭和の政治だ」と反発。鈴木財務相の不信任決議案の採決でそろって反対に回ると、立民は1日深夜、予算案の2日採決で自民と大筋合意するなど、方針転換せざるを得なくなった。
主要野党で不信任決議案に賛成したのが、立民以外では共産党だけだったことから、自民内には「『立憲共産党』批判を恐れ、引いたのではないか」との見方が出ている。立民幹部は「予算案の年度内成立は確実になり、他の野党の信頼も損ねた。うちだけ損をした格好だ」と肩を落とした。
予算案の審議は4日から参院に舞台を移す。野党は派閥の政治資金規正法違反事件を巡り、参考人招致や証人喚問をちらつかせ、追及を続ける構えだ。予算案の年度内成立を期限ぎりぎりで確定させたものの、首相の苦境は続きそうだ。

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