米軍輸送機MV22オスプレイが14日、沖縄県宜野湾市の普天間飛行場から次々と離陸し、那覇市などの市街地上空を繰り返し飛行した。昨年11月末に鹿児島県・屋久島沖で起きた墜落事故以降、日米ともに運用を停止していたが、詳細な事故原因の説明がないままの再開。自治体や住民からは反発する声が上がった。
オスプレイは14日朝から夕方にかけ、10回以上離着陸を繰り返した。沖縄県の玉城デニー知事は記者団に「強い憤りを禁じ得ない」と述べた。13日に防衛省から説明を受けたものの、日程や飛行経路は知らされなかったという。直後の再開に「非常に誠意がない。許し難い」と不信感をあらわにした。
宜野湾市の松川正則市長は、13日夜に沖縄防衛局から14日の飛行を知らされたとしながらも「『まあいいでしょう』というわけにはいかない。(市民は)誰も納得していない。防衛省は一日も早く説明を」と不満をにじませた。墜落事故が起きた鹿児島県の塩田康一知事も「十分な情報提供もないままの再開は極めて遺憾だ」と述べた。
飛行場近くの公園で息子(1)を遊ばせていた看護師の女性(35)=同県浦添市=は、頭上をかすめた機体の近さに怖さを感じた。「事故原因が明らかにされず不安がある」と話した。宜野湾市の介護職伊波秀信さん(72)は飛行する機体を見て「米軍のやりたい放題で情けない」と訴えた。自宅の真上が飛行経路といい、「日本政府には飛行中止を強く米国に訴えてほしい」と語った。
宜野湾市の主婦(40)は機体を見上げ、「うるさくて困る」とこぼした。飛行再開の必要性は理解するとした一方で、「なぜ飛べるようになったのか、よく分からないまま。あの事故は何だったのか。国は原因を説明してほしい」と求めた。浦添市の主婦(30)も「説明がないままに飛行するのは沖縄では毎回で、当たり前になっている。飛ぶなとは言わないが説明をしてほしい」と話した。
一方、陸上自衛隊の森下泰臣陸上幕僚長は定例記者会見で「米軍機は安全対策ができたから再開した」と述べ、問題はないとの見方を示した。陸自のオスプレイについては「対策が整い次第、順次運用を再開していく」とした。
[時事通信社]