東京15区補選〝女性の戦い〟政治とカネに「クリーンさ」で勝負か 小池百合子氏のような「目玉候補立てない限り厳しい」自民党

4月の衆院東京15区補選(16日告示、28日投開票)に向け、各党が候補予定者擁立に動き出している。「政治とカネ」問題で注目される選挙区に、女性候補者を担ぐ陣営が相次ぎ、子育てやビジネスのキャリアなどの多彩な経験をアピールする構図だ。
東京15区の補選は、江東区長選を巡る公選法違反の罪で有罪判決を受けた柿沢未途被告=自民党を離党=の辞職に伴い実施される。
参政党は15日、看護師の新人、吉川里奈氏(36)を擁立すると発表した。吉川氏は記者会見で、「既存政党になかった政治とカネにクリーンなところを打ち出して解決していきたい」と語った。X(旧ツイッター)によると、3児の母で「既得権益に囚われない」「子供や孫の世代へ命を繋ぎ、少しでも良い日本を残したい」と主張している。
日本維新の会は元会社員の新人、金澤結衣氏(33)を擁立している。江崎グリコで商品の企画や、マーケティングなどに従事した経験もあるという。金澤氏は21年衆院選で、東京15区と、比例東京から重複立候補したが、落選した。公式サイトでは「国会には、私のように民間で働いてきた、一般的な感覚を持った若い世代や女性が少ないのが現実です。だからこそ、私のような人が、みなさまと一緒にこの国を変えるきっかけを作らないといけないと思いました」などと主張している。
今月5日には、ベストセラー作家で保守論客として知られる百田尚樹氏と、ジャーナリストの有本香氏らが立ち上げた日本保守党が、イスラム思想研究者の飯山陽(あかり)氏(48)を擁立した。飯山氏は13歳の娘の母で、「彼女が成人して大人になったときに、日本は希望を持てない国になってしまっているかもしれない。これは国民のせいではない。政治の責任だ」と訴えている。
共産党は、新人の小堤東氏(34)を擁立する。一方、国民民主党は女性公認候補の擁立を取り下げた。
自民党は独自候補の擁立を見送る方針で、無所属候補への相乗りを検討する。小池百合子都知事が特別顧問を務める地域政党「都民ファーストの会」との連携を視野に入れるが、小池氏自身が出馬するとの憶測もある。
立憲民主党は候補選定が遅れている。共産党との協力について党本部と都連の思惑が異なっているとも指摘されている。
政治評論家の小林吉弥氏は「『政治とカネ』に対しては、女性有権者からの批判も強いため、女性候補の擁立に向けた動きにつながっている可能性もあり、動向が注目される。自民党にとっては逆風で、小池氏のような目玉候補を立てない限り、厳しい情勢だ。立民は自民党の出方をうかがっているだろう」と分析した。

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