「したたか」「甘く見るな」小沢一郎氏、岸田首相を警戒 二階俊博氏は引退、安倍派も崩壊 次々と追い込まれた「政敵」たち

立憲民主党の小沢一郎衆院議員(81)が、岸田文雄首相(66、自民党総裁)への警戒感をあらわにしている。派閥の政治資金パーティー裏金事件をめぐって自民党が大炎上するなか、岸田首相は非主流派の二階派(志帥会)を率いた二階俊博元幹事長を引退に追い込み、最大派閥・安倍派(清和政策研究会)も崩壊させた。二度の政権交代を実現した「剛腕」政治家が、岸田首相の強権手腕に舌を巻いているようだ。
「岸田首相を甘く見ていちゃダメだよ」「したたかだ」
小沢氏は26日、記者団の取材に応じ、岸田首相についてこう語った。
どういうことか。朝日新聞(26日、デジタル記事)によると、小沢氏は「清和会をズタズタにやっつけて今度は二階を引退に追い込んだ。二階氏も劣らずにしたたかだけど、今の状況では(岸田氏に)かなわない。だから『注意しないといかん。油断するな』と(自身の党内グループ会合で)言った」と語ったという。
確かに、東京地検特捜部の裏金事件捜査が昨年末に本格化すると、岸田首相は安倍派の閣僚や党幹部を事実上更迭し、政権周辺から一掃した。現在、同派幹部の塩谷立元文科相、下村博文元政調会長、西村康稔前経産相、世耕弘成前参院幹事長は、「選挙非公認」以上の〝厳罰〟となりそうだ。
事件は二階派にも直撃し、二階氏は25日、「政治責任は当然すべて私にある」といい、次期衆院選への不出馬を表明した。
一方、岸田首相は、首相就任後は派閥を離れる通例に反して会長を続投していたが、岸田派(宏池会)の不記載問題が浮上する直前に派閥を離脱した。その後、根回しもせずに「派閥解消」をブチ上げ、安倍派や二階派も追随させた。
小沢氏は、これらの動きが〝岸田首相の仕掛け〟と見ているようだ。次期衆院選は、9月の自民党総裁選で岸田首相が再選した後で、その前に電撃訪朝がある可能性も示唆したという。
47歳で自民党幹事長にのぼり詰め、昭和、平成、令和の数々の政局を乗り切ってきた古参政治家だけに、その分析は興味深い。確かに、岸田首相の「政敵」は、次々と力を失っている。
自民党ベテラン議員は「小沢氏は皮肉を込めたつもりかもしれないが、岸田首相を警戒している点に不気味さがある」と語る。

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