大阪維新の会の吉村洋文代表(大阪府知事)は10日、2025年大阪・関西万博に批判的なコメントをしたコメンテーターに、会場への出入りを禁止するとした自身の発言を撤回し、「不適切だった」と謝罪した。吉村氏は万博を運営する日本国際博覧会協会の副会長(理事)の立場にあり、発言は国会で取り上げられたほか、SNS(ネット交流サービス)でも「言論統制に当たるのでは」と物議を醸していた。
吉村氏は3月に大阪府茨木市であった維新の集会に出席した際、テレビ朝日の情報番組でコメンテーターを務める玉川徹氏を名指しし、万博に批判的なコメントをしているとして「会場に入れさせない」との趣旨の発言をしていた。
吉村氏は4月1日、報道陣に発言の真意を問われ、「本当に出禁(出入り禁止)にする権限があれば問題だと思うが、権限は全くない」と釈明。「万博を批判するのはいいが、賛否両論ある中でもう少し公平に報道してもらいたい思いが背景にあった」と語った。
その後、議論は永田町にも飛び火。3日の衆院内閣委員会で、立憲民主党の中谷一馬氏が吉村氏ら協会理事が特定のメディアや人物の出入り禁止を提案・決議できるかと質問したのに対し、万博を所管する経済産業省の審議官は「理事会の目的に沿うものであれば議事を提案することは可能」と答弁した。
吉村氏は10日の記者会見で、「振り返って言い過ぎた。政治集会の場でも良くなかった」と発言を撤回し、「玉川さんに謝罪を申し上げる」と述べた。【東久保逸夫、藤河匠】