ファッションデザイナーの桂由美さんが死去 94歳

ブライダルデザインの第一人者として世界的に活躍したファッションデザイナーの桂由美(かつら・ゆみ、本名・結城由美=ゆうき・ゆみ)さんが26日、死去した。94歳だった。
株式会社ユミカツラインターナショナルは30日、公式サイトで「1965年以来ユミカツラのクリエイティブディレクターを務めてきた桂由美(かつら・ゆみ、94歳)の逝去を発表します」と発表した。
同社の常務執行役員、鞍野貴幸氏は「桂由美氏は、誰よりも花嫁を美しくすることに寄り添い、日本のブライダル文化の発展を願い、そしてユミカツラを愛していました。そのあくなき挑戦を続けるマインドによって、誰も想像しなかった未来を切り拓き、数多の遺産を残してきました。1965年から今日までの60年間並々ならぬ情熱を捧げてこられた桂由美氏の意思を受け継ぎ、ユミカツラとして100年続く企業を目指します」とのコメントを寄せた。
その上で「ユミカツラのデザイナーであり、30年以上桂由美の右腕として共にクリエイションをしてきた藤原綾子・森永幸徳・飯野恵子の3名が率いるユミカツラのクリエイティブチームが、桂由美の想いと遺産が生き続けるよう、後任としてコレクションの制作を託されました」とつづり、「ユミカツラは、心より哀悼の意を表しますともに、ご冥福を心よりお祈りします。私共としても突然のことであり、現在お知らせ出来ることはこちらのリリースが全てとなります。また追加でお知らせ出来ることがありましたら追って発表させて頂きますので、お問い合わせについてはご配慮いただけますと幸いです」とした。
1965年、日本初のブライダルファッションデザイナーとして活躍した。70年代には、それまで貸衣装がメインだった日本のウェディングドレスに対し、「OLの1ケ月のサラリー(=給与)で買えるウェディングドレス」を発表し、人気が急拡大。桂さんが業界に足を踏み入れたとき、日本でのウェディングドレスの着用率は3%にとどまり、和装による神前挙式が97%だったが、現代では桂さんの活躍もあって日本中にウェディングドレスが広まった。
桂さんの活躍は国内にとどまらない。81年、ニューヨークショーで代表作となる「ユミライン」を初披露した。93年にローマ法王へ祭服を献上、99年に東洋人で初めてイタリアファッション協会正会員となり、ローマオートクチュールコレクションに参加。2010年、全米ブライダルコンサルタント協会から世界で4人のみ与えられている名誉会員の称号を授与された。
新型コロナウイルス感染拡大の影響で、ニューヨークなどのショーが中止になり、外出する機会が減ったため、足腰が弱まったという。3年ぶりのコレクションとなった23年3月、車椅子に乗って会場入りし「ほとんど毎日足のマッサージに来てもらっています」と告白。それでも「ほかに悪いところはないと聞いています」といい、取材に対する受け答えもしっかりしていた。今後についても「私はこの仕事にかけていますから。日本を一番ウェディングが美しい国、ウェディングでハッピーになる国にしたい。今もそれは変わっていないです」と、仕事に対する情熱を燃やし続けていた。

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