奈良県三郷町発注の町立保育園建て替え事業を巡り、町内業者に非公表の見積額を漏らしたとして、官製談合防止法違反罪に問われた前町長、森宏範被告(64)の初公判が7日、大阪地裁(御山真理子裁判長)で開かれた。森被告は「間違いありません。地元業者の成長を願って優遇したい思いがありました」と起訴内容を認めた。
検察側の冒頭陳述によると、森被告は知人の業者から町発注工事の下請けに入りたい意向を伝えられ、「懇意にしている別の業者が元請けになればこの業者を下請けに指定できる」と考え、情報を漏らしたと指摘した。
起訴状によると、町立西部保育園の建て替え工事に伴い、令和2年10月に開札された仮設園舎建設関連事業の見積額を業者に漏らしたとされる。工事は別の業者が落札した。
森被告は平成22年の町長選で初当選。在宅起訴を受けて辞職願を提出し、その後、自動失職した。事件を巡っては町の職員2人らも同罪などで在宅起訴されている。