大津市の住宅で5月、保護司でレストラン経営の新庄博志さん(60)が遺体で発見された事件があり、新庄さんが担当していた保護観察中の30歳代の無職男が殺害に関与した疑いが強まったとして、滋賀県警は近く本格捜査に乗り出す方針を固めた。捜査関係者への取材でわかった。男は遺体発見の2日後に銃刀法違反容疑で現行犯逮捕されていた。県警は保護観察を巡ってトラブルがなかったか詳しい経緯を調べる。
法務省によると、保護司が保護観察対象だった人物に殺害された事件は1964年に起きたが、それ以降はないという。
新庄さんは5月26日夕、同市仰木の里東の自宅1階のリビングで倒れているのを訪ねてきた親族に発見された。司法解剖の結果、上半身に刃物で10か所以上刺されたような傷があり、身を守る際にできる防御創も確認された。死因は出血性ショックで、県警は24日夜に殺害されたとみて殺人容疑で捜査している。
男は同市内に居住。新庄さんの遺体発見後、県警が新庄さんの周辺を調べたところ、男の所在が分からなくなっていることが判明した。県警の警察官が28日深夜、同市内の路上で男を見つけて職務質問し、ナイフ1本を所持したとして銃刀法違反容疑で現行犯逮捕した。男はナイフを持っていた理由について「山歩きのためだった」と供述したという。
男は2018年、同市内で強盗事件を起こし、逮捕、起訴された。19年6月に大津地裁で懲役3年、保護観察付き執行猶予5年の有罪判決を受け、翌7月に確定した。
新庄さんは06年から保護司として更生保護活動に携わっていた。