海外を拠点に日本国内の特殊詐欺事件に関与したなどとして、福岡県警は11日、フィリピンから強制送還された鹿児嶋孝之容疑者(55)を窃盗容疑で逮捕した。鹿児嶋容疑者は、元暴力団組員らがフィリピンで組織した「JPドラゴン」と呼ばれるグループのメンバーで、全国で広域強盗事件を起こしたとされる「ルフィ」グループとのつながりが疑われている。県警が逮捕状を取り、フィリピン当局が3月に鹿児嶋容疑者の身柄を拘束していた。
逮捕容疑は何者かと共謀し2023年4月18日、埼玉県蕨市の当時89歳だった男性方にうその電話をかけ、警察官になりすました受け取り役が男性方を訪問しキャッシュカードを盗んだとしている。福岡県警は「捜査に支障がある」として認否を明らかにしていない。
強制送還された鹿児嶋容疑者は11日午後3時過ぎ、マニラ国際空港から成田空港に到着。福岡空港には同日夜に到着した。特殊詐欺グループは近年、警察の摘発を逃れるために海外に拠点を移しており、県警は全容解明を目指す。
JPドラゴンの名は、「ルフィ」事件の指示役とされた今村磨人(きよと)被告=強盗致死罪などで起訴=とのつながりが判明し、知られるようになった。今村被告と接見した弁護士が、スマートフォンを使ってJPドラゴンの幹部数人との会話を仲介した疑いが浮上。警視庁は24年3月、この弁護士を証拠隠滅容疑で書類送検したが、東京地検は不起訴処分とした。【佐藤緑平】