県立美術館の名画が偽物?贋作師が「私が描いた」と主張しています。 (徳島県 後藤田正純知事)「贋作の疑義が生じたということで担当局が調査している。本当に見る目があってもそれを見抜けなかった…。(何が起こったか)事実を確認して県民にお知らせしたい」 7月26日、徳島県の後藤田知事が会見で言及した“ある絵画”をめぐる「贋作疑惑」。 その絵画は、徳島県立近代美術館にある『自転車乗り』という作品。20世紀前半にかけて活躍したフランス人画家のジャン・メッツァンジェが描いたとされる作品で、県立近代美術館が1999年に6720万円で購入し、他の美術館への貸し出しも行ってきたいわば「美術館の顔」です。 しかし、美術館の関係者がインターネット上の記事で、ドイツ人の贋作師であるウォルフガング・ベルトラッキ氏が描いたという作品の中に『自転車乗り』が掲載されているのを見つけ、贋作の疑いが浮上したというのです。 (徳島県立近代美術館 竹内利夫課長)「(画家の)目録を編集している人が証明してくれた鑑定書があります。それをもって『本物だ』と、私たちは認識していたんです。『こういう作品なんですよ』と(来館者に)説明もしてきたし、本当にそういうことを思うと非常に胸が痛むことで、本当にショックという…。そういう人の気持ちをね…」 “天才贋作師”と言われ、2011年に14点の絵画を偽造した罪で有罪判決を受けているベルトラッキ氏。JNNは、そのベルトラッキ氏を名乗る人物に直接インタビューすることができました。疑惑のかかる『自転車乗り』について聞くと… (贋作師 ベルトラッキ氏)「そうだよ、私が描いた。かなり昔に描きましたが、当時はあまり高価ではなかったな」 この作品は、画家が名付けたタイトルは明らかなものの、その絵画自体は見つかっていませんでした。つまり、ベルトラッキ氏はタイトルから想像した絵画を、その画家の手法を用いて「創作」、それを画家本人の作品として売っていたのです。ベルトラッキ氏は「これは贋作ではなく全て“オリジナル”」と言います。 (ベルトラッキ氏)「(Q贋作でいくら稼いだ?)よくわかりませんが、おそらく3000万ドル(日本円で約47億円)くらいです。1980年代末まで多くの日本人が美術品をヨーロッパで購入したんだ。(他の贋作を)誰もまだ見抜けていないんだ。『探すな』と言いたいね、探さない方がいい」 日本には、まだ他にもベルトラッキ氏の贋作があるというのです。徳島県立近代美術館は、問題となっている『自転車乗り』についての展示を取りやめ、調査を進めていて、結果を公表するとしています。