「原爆の日」を迎えた6日、広島市の平和記念公園では「原爆死没者慰霊式・平和祈念式」(平和記念式典)が営まれたが、市が今年から導入した公園内の規制強化に「反戦・反核」を訴える団体は反発。市職員による退去命令を拒否し続けたほか、式典開催中には周辺道路でのデモも例年通り実施した。静かな慰霊を妨げかねない言動に、追悼のために記念公園を訪れた人たちからも批判の声があがった。
「言論の自由は分かるが、式典中は犠牲者を思う時間。故人に思いをはせている方々がいることを理解し、心を静めていただきたい」。広島市内の女性(48)は、団体の活動にこう苦言を呈した。
那覇市から足を運んだという男性(37)も「平和を願う気持ちは誰にも否定できないが、こうした集会やデモは純粋に平和を願っている人たちが行っているのか。いぶかしんでしまう」と語った。
市は昨年まで、式典会場周辺だけで入場規制や手荷物検査を実施していたが、今年は対象を公園全域に拡大。午前5時に公園利用者をいったん外に出し、6時半から手荷物検査を経て園内に入れるようにする方針だった。
しかし、原爆ドーム周辺で例年、大規模集会を開いてきた「8・6ヒロシマ大行動実行委員会(大行動)」のメンバーらは前日夜から公園内に滞在し、6日朝になっても市の再三にわたる退去命令を拒否。「集会弾圧を許さないぞ」などとシュプレヒコールし、公園内には怒号が響きわたった。
記念式典が始まった午前8時前後になると、デモのために順次、公園外へ移動。周辺の道路で、拡声器や太鼓を使いながら「岸田(文雄)政権打倒」などと政治的主張を繰り返し、その音は式典会場内にまで響いた。