田んぼアートが異例の事態に 「見ごろ」宣言できず 青森

水田をキャンバスに見立て、7色10種類の稲を使い分けて名画などを表現する青森県田舎館村の「田んぼアート」のメイン会場で生育がうまくいかず、「見ごろ」を宣言できない異例の事態となっている。村の担当者は「楽しみに見に来てくれる人たちに申し訳ない」と肩を落としている。
村役場に隣接する第1会場の題材は葛飾北斎の代表作「神奈川沖浪裏」と、近代日本医学の父と呼ばれ、青森県にもゆかりがある「北里柴三郎」。新しい紙幣の発行に合わせ、企画された。
今年は5月下旬から田植えを実施したが、10種類の稲に育苗段階からばらつきがあったため、例年は2~3日で作業が終わるところ、1カ月かかってしまった。紫色や黄色などの色が出る古代米の発芽が遅れたといい、詳しい原因は不明。結果として稲穂の長さがそろわず、色の濃淡が分かりにくい状態だ。
大阪市から親子で訪れた佐々木則子さん(62)は「少しぼやけているけど十分立派。一度見たかったので来てよかった」と話し、カメラで熱心に撮影していた。村によると対策として今後、草が生えているところに除草剤を散布し、草取り作業を行う。
3キロ離れた道の駅いなかだてにある第2会場の題材は津軽地方を舞台とするアニメ「じいさんばあさん若返る」で、稲は順調に生育し、見ごろを迎えている。【松本信太郎】

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする