東京女子医科大学(東京都新宿区)の同窓会組織で不透明な人件費支出や、入試と絡んだ寄付金収受が判明した問題で、同大の理事会は7日、岩本絹子理事長の解任を賛成多数で可決した。暫定的な後任として同大病院長の肥塚直美氏を選任した。
関係者によると、理事会で理事が岩本氏に辞任を勧告したが、岩本氏は「いずれ辞任するが、今ではない」と拒否。理事長職の解任の動議が提出され、岩本氏を除く10人全員が賛成したという。理事職の解任には評議員会の可決が必要になる。
一連の問題を検証していた第三者委員会は、岩本氏の経営責任を「極めて重い」と指摘しており、5日に開催された大学の教職員向けの説明会では理事から岩本氏の辞任を求める方針が示された。丸義朗学長を含む他の理事も全員が辞任する意向だが、大学や病院の運営に支障が出ないよう時期を検討するという。
岩本氏は問題が判明して以降、公の場では発言していない。5日の説明会では「弁護士と相談し、第三者委報告を検証する」などと述べ、進退について明言を避けたという。
第三者委は、卒業生親族向け推薦入試で大学と同窓会組織「至誠会」が受験生親族から寄付金を収受したと認定。至誠会から大学への出向職員の人件費も過大だとしたほか、大学発注工事を巡っても、受注企業から岩本氏の側近職員の関連会社に1億数千万円が還流した可能性があると指摘した。
第三者委報告を受け、文部科学省は6日、改善計画を提出するよう大学を行政指導していた。【井川加菜美、斎藤文太郎】