政府はサイバー攻撃に先手を打って被害を未然に防ぐ「能動的サイバー防御」導入に合わせ、司令塔となる「サイバーセキュリティ戦略本部」を改編する方針を固めた。本部長を官房長官から首相に格上げ。重要インフラを所管する閣僚を本部員に加えて機能強化を図る方向で調整している。サイバー防御を巡る運用の透明性確保のため、助言機関として有識者組織も設置する。複数の政府関係者が11日、明らかにした。
能動的サイバー防御では有事だけでなく平時から通信情報の監視を強化する。サイバー攻撃対処で幅広い情報を分析し、迅速に関係省庁へ指示を出すためには首相をトップとして司令塔の指揮権を強化する対応が不可欠と判断した。
現在のサイバーセキュリティ戦略本部は本部長を官房長官とし、デジタル相や防衛相ら閣僚7人と民間有識者9人がメンバーとなっている。改編では国土交通相や金融担当相らを加える案を検討。有識者を本部員から切り離して独立した協議体を設置し、情報収集の在り方などについて政府に助言する役割を持たせる見通しだ。