《近隣住民は「ずっと変だと思ってるよ」》宮城・柴田町男性殺害事件 被害者家族ら6人が相次いで逮捕、“長男の妻”の周囲で起きた「4度の火事」に深まる謎

2023年4月、宮城県柴田町の住宅玄関先で、血まみれの男性が倒れていると近隣住民からの119番通報があった。すでに亡くなっていた男性は、もともと住んでいた家が全焼したため、1か月前、その住宅に引っ越してきたばかりだった。
男性の遺体は作業着姿で、刃物による刺し傷があり、仰向けに倒れていた。死因は右腰を刺されたことによる失血死。4か月後の2023年8月に殺人容疑で逮捕されたのは男性の親族たちだった。その後の捜査では、殺人だけでなく親族ら周囲の人物による美人局詐欺も発覚してゆく。カギを握るのは男性の“長男の妻”だとみられている。家族を中心とする不可解なこの事件の影には、度重なる“火災”があった。
* * * 柴田町西船迫1丁目にある住宅の玄関先で、住人の会社員、村上隆一さん(54=当時)の遺体が見つかったのは2023年4月17日の朝。右腹部、右膝などが血まみれで、近くにはスマートフォンが落ちていた。刺し傷はあるが、刃物は見当たらない。
パン工場に勤めていた隆一さんは1か月前、この住宅に引っ越してばかりだった。それまで空き家だったという住宅にはもともと、高齢の夫婦が住んでいたが、「夫婦が亡くなってからは親族だという女性がときどき来て管理していたようです」(近隣住民)という。隆一さんが住宅を借りて住み始めていたことも「知らなかった」と語る近隣住民は少なくなかった。
もともと隆一さんが住んでいたのは、住宅から西に3キロほど離れた大河原町の一軒家。母と姉との3人暮らしだったが、2023年2月25日夜、家が全焼。その後、母と姉と離れ、ひとり隣町の西船迫に引っ越してきた。
近隣住民が首をかしげること
大河原町の火災では、木造2階建ての一軒家が全焼し、隣家外壁も焼けた。玄関付近から炎が上がっているのを見つけた隆一さんが通報したという。消防は「こぼれたガソリンに線香の火が引火した」としているが、火災から1年が過ぎた今でも、近隣住民は首をかしげる。
「ずっと変だと思ってるんだよ。あの日は一気に激しく火が燃え上がったから、近所の人たちで公園に逃げたわけ。そうしたら、村上さんの家族がそこに立って火を見てるんだよ。村上さんのお母さんは足が不自由だから、逃げ遅れたのかと心配していたら『おばあちゃんは避難させてきた』って言うわけ。あんなにすごい勢いで火が燃えてるのに、もう避難させてきて、火を見てたんだ」

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする