【ラサール石井 東憤西笑】#217
「原爆を作る人々よ! しばし手を休め 眼(め)をとじ給(たま)え」
23歳で被爆し原爆症と闘いながらも原爆の悲惨さを訴えた長崎の詩人・福田須磨子さんの詩で始まった長崎市長鈴木史朗氏の「長崎平和宣言」は全世界に核廃絶と平和を訴える素晴らしいスピーチであった。
この式典ではパレスチナは招待され、イスラエルが招待されなかった。イスラエル大使は黙っていない。「市長の政治的動機に式典を利用した」とロシアと一緒にされて激おこだ。
しかし現在ガザ地区で民間人を4万人近く殺戮(さつりく)し、そのうち1万5000人は子供たち。これはとても「自衛権の行使」とは呼べぬジェノサイドである。
原爆も「戦争を終わらせるため」とはいえ、民間人の大量虐殺に変わりはない。その追悼式典に現在同じことをしている国を呼ばないのは、世界平和を願う一つのメッセージであろう。
鈴木市長は「政治的意図はない」と大人の対応をしているが、いやいや相当勇気のいる行動だ。 しかもあろうことか今度は米エマニュエル大使が、「だったら俺も出ない」と言い出した。彼のミドルネームは「イスラエル」、18歳までイスラエルとアメリカの二重国籍だった、ガチガチのシオニストであり、ウーマンラッシュアワー村本くんによれば、シカゴ市長時代には黒人差別、アジア人差別をし、日本に来て「沖縄に基地を置くのは義務だ」と言った日本を見下した男で、村本くんいわく「原爆落とした国のくせに出席断った。彼を日本から基地と共に撤去したい」とは全くその通り。
しかも「おまえらも行くのやめようぜ」とG7国にロビー活動し長崎市に圧力をかけた。もちろん腰抜け対米ポチ官邸は「ややこしいことをしてくれた」とこちらも圧力をかけたらしい。それに屈しなかった鈴木市長。肝が据わっているではないか。期せずしてイスラエルを援助し虐殺に手を貸すG7国家の姿を世界に見せつけた。
そして鈴木市長は岸田総理の面前で「唯一の戦争被爆国である日本の政府は、核兵器のない世界を真摯に追求する姿勢を示すべきです。そのためにも一日も早く、核兵器禁止条約に署名・批准することを求めます」と訴えた。
「核廃絶」とお題目を唱えながら、もう一方では「核抑止力」を唱えアメリカの「核の傘」に入る岸田政権の二枚舌。思うのだが、なぜ広島と長崎2カ所に落としたんだ。広島はウラン型、長崎はプルトニウム型。どうしても2発試したかったのではないのか。だったら長崎は実験場にされたのか。
政府がダメでも長崎という1都市が発したメッセージは、今世界中で評価されている。
(ラサール石井/タレント)