退陣を表明している岸田首相が9月下旬に米ニューヨークを訪問し、国連総会に出席する方向で最終調整している。自民党の新総裁選出後となれば、極めて異例の外遊となる。米大統領選から撤退したバイデン大統領との会談も調整しており、「岸田外交」の総括の場となりそうだ。
複数の政府関係者が明らかにした。9月22日から数日間訪問する案が浮上している。党総裁選の投開票日が9月20日の場合、臨時国会で新首相が指名されるのは休日を挟んで24日以降となる見通しで、新総裁の誕生後に岸田首相が国連総会に出席する形となる。2000年以降、新総裁選出後の首相の外遊記録はない。
一方、投開票日が27日の場合は総裁選期間中の訪問となる。
菅前首相は21年9月の総裁選に出馬しなかったが、選挙期間中に米国を訪問し、日米豪印4か国の枠組み「Quad(クアッド)」首脳会談に出席したほか、バイデン氏とも個別に懇談した。国連総会には出席せず、事前収録したビデオ映像で一般討論演説を行った。
国連総会には各国の首脳が集まり、退任を直接伝える機会となる。外務省幹部は「岸田首相は今後も元首相として外交面で活躍するだろう。退任を前に各国首脳らとあいさつしておくことは意義がある」と語る。
11月の米大統領選では共和党のトランプ前大統領が返り咲く可能性がある。政府内では、日本の新首相をバイデン氏に近づけすぎない方が得策との見方もある。