兵庫県知事のパワハラ疑惑、市長・町長6割が予算編成など「影響を懸念」…「辞職すべきだ」は2人

兵庫県の斎藤元彦知事がパワハラなどの疑惑を内部告発された問題で、読売新聞が県内全41市町の首長にアンケートを実施したところ、約6割が地元の市政・町政への影響を懸念していると答えた。斎藤知事について、「辞職すべきだ」と回答した首長も2人いた。

アンケートは7月31日~8月8日に書面や対面で実施。全41市町のうち、39市町の首長が回答した。加西市は「(この問題については)報道機関のアンケートには答えない」として回答せず、2022年11月に町職員が知事側に特産のワイン2本を届けたことが明らかになった上郡町も、「回答を控える」とした。
問題の市政・町政への影響を尋ねたところ、「影響する」との回答が、「どちらかといえば」を含めて24人(59%)に上った。
現時点で具体的に支障が出ているとした市町はほとんどなかったが、9月頃から本格化する新年度当初予算の編成への影響を心配する声が目立った。
山本実・たつの市長は「予算編成時期までに県政の混乱が収束しなければ、来年度以降の県と市町が連携する事業への影響が懸念される」とした。
松本真・尼崎市長は「地域の首長らとコミュニケーションを取り、県庁職員と政策を立案していく環境の構築が難しい状況になっている」との見解を示した。

知事の進退については、「どちらともいえない」が大半だったが、2人が「辞職すべきだ」と回答。「どちらかといえば辞職すべきだ」も1人いた。
蓬莱務・小野市長は「職員の命が絶たれるという最悪の事態に至った事実を重く受け止めるべきだ。速やかに身を引くことがトップとしてのごく当たり前の姿勢」と厳しく批判した。
西村銀三・新温泉町長は「辞職して県民の思いを確認するための選挙をすべきだ」とした。
斎藤知事は「職員との信頼関係を再構築し、県政を立て直すことが私の責任」などとして、辞職を否定し続けている。

問題を巡っては、前県西播磨県民局長の男性職員(7月に死亡)が3月中旬、7項目の疑惑を指摘する文書を報道機関などに送付。4月4日、県の公益通報制度を利用して内部通報した。
一方、県の人事当局は5月7日、文書を「核心的な部分が事実ではない」とする内部調査結果を公表。男性職員を停職3か月の懲戒処分とした。斎藤知事は「文書に信用性がなく、対応に問題はない」と主張している。
県の告発への対応が「妥当ではない」と答えたのは、「どちらかといえば」を含めて25人(61%)。仲田一彦・三木市長は「(公益通報制度に基づく)調査結果を待たずに通報者を懲戒処分とした手順は妥当とは言えない」と指摘した。
公益通報者保護法では、通報内容に「事実と信じるに足りる相当の理由」などがある場合、通報者を保護するよう定めており、報道機関も通報先となる。久元喜造・神戸市長は「法律上の疑義を生じさせる事態に至っている」とした。

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