大阪府 咲洲 庁舎(大阪市住之江区)に入る「さきしまコスモタワーホテル」の賃料滞納問題で、差し押さえを免れるために約900万円を隠したとして、府警は22日、ホテル経営会社の社長ら2人を強制執行妨害目的財産損壊容疑で逮捕した。捜査関係者への取材でわかった。ホテルは今も営業中で、旅行サイト経由の宿泊料金を、ホテルとは無関係の休眠法人の口座に入金させていたという。
逮捕されたのは、同ホテル経営会社社長、誉田喜博(62)(大阪市浪速区)、同ホテル運営会社社長、小寺孝明(64)(同)両容疑者。
捜査関係者によると、誉田容疑者らは昨年7月、強制執行による府の資産差し押さえを免れようと、誉田容疑者が管理する別会社の口座を同ホテル名義に変更。同8~9月、旅行予約サイトからの宿泊料金計約900万円をその口座に振り込ませ、財産を隠した疑い。
ホテルは2019年1月に開業し、咲洲庁舎(55階)の7~17階に入居。誉田容疑者らは府と月額約3500万円の賃貸借契約を結んだが、19年11月以降、賃料を支払わず、府が20年7月に契約解除を通知した。
さらに府は同年11月、誉田容疑者らの会社に賃料支払いと退去を求め、大阪地裁に提訴。今年6月、約26億円の支払いと明け渡しを命じる大阪高裁判決が確定し、府は10月末までの退去を求めている。
事件では、誉田容疑者の知人が代表を務め、休眠状態だったコンピューター販売会社の法人口座が悪用された。誉田、小寺両容疑者は昨年7月、この会社の名前を「さきしまコスモタワーホテル」に変更し、小寺容疑者を社長とする法人登記を行い、口座名義も併せて変更した。誉田容疑者らは、差し押さえを免れつつ、旅行予約サイトからの宿泊料金入金を維持しようとしたとみられる。