7月、高知市立長浜小学校4年生の男子児童が近くの同市立南海中学校のプールを使った水泳の授業中、溺れて死亡した事故が発生したことを受け、再発防止のために事故を検証する第三者委員会の初会合が24日、同市で開かれた。
市教委が設置した「児童プール事故検証委員会」のメンバーは7人で、委員長に高知弁護士会の中内功弁護士が就任。ほかに水難学会と日本ライフセービング協会の役員、大学院教授、弁護士、医師、臨床心理士が就任した。
初会合で市教委が報告した事故の経緯によると、事故前に複数回、プールでの授業で危険性が確認されていたことが分かった。資料によると、長浜小校長らは小学校プールの故障が判明した直後の6月5日、代替プールの候補とした近くの南海中のプールを訪問して水深を測定。満水時は120~140センチだが、この日は100~120センチと小学校プールと同等だったことを確認し、市教委に報告した。
しかし、6月21日の4年生が南海中プールを初めて使う授業時、指導する2人の教諭とも「プールが満水」で5日より水位が高いことを目視で確認。教諭が亡くなった児童(身長113・8センチ)の足がつくかを確認すると、水位は頭の上だったという。ビート板を使ったバタ足練習では、亡くなった児童を含む3人が「あっぷあっぷ」して、両教諭にすくいあげられる場面があったという。この情報は校長にも伝えられていた。
事故当日、7月5日の3回目の授業では、指導教諭は水深は初回より10センチ程度浅いと感じたものの、泳ぎが苦手の亡くなった児童はプールサイドで「怖い」と言っていたという。
委員会は非公開で行われ、関係者のヒアリングなどで事実関係の確認作業を進め、来年3月末までに報告書を市教委に提出する。
市教委の松下整教育長は記者団に対し、「(南海中プールの使用について)立ち止まるべき場面が何度もあったのに、それができなかったのは私の責任だ」と話した。【小林理】