敦賀2号機不合格「決断に迷いなし」と規制委の山中委員長、原発活用方針にも影

日本原子力発電が再稼働を目指す敦賀原発2号機(福井県敦賀市)が国内の原発として初めて事実上の審査不合格になったことについて、原子力規制委員会の山中伸介委員長は28日、決定会合後の記者会見で「大きな判断だったが、今回の決断に迷いはなかった」と述べた。
敦賀2号機の再稼働審査は長期化した。日本原電は再稼働を目指して平成27年に規制委に申請したが、提出資料の誤記や地質データの無断書き換えなどが発覚し、2度にわたって審査が中断。規制委が原電本社に立ち入り検査を実施する異例の事態となった。
山中委員長は会見で「審査の申請から8年もの間、十分な審査ができない異常な状況があった」と振り返り、「「この1年、論点を絞ったことで審査が進み、技術的に判断を下せたと思っている」と総括した。
一方、日本原電側に廃炉の選択肢はなく、引き続き再稼働を目指す方針だ。ただ、2号機原子炉直下にある断層の活動性を否定する新たな科学的根拠が示されない限り、規制委の決定を覆すのは難しく、再稼働へのハードルは高い。
政府は昨年閣議決定した「GX(グリーントランスフォーメーション)実現に向けた基本方針」で原発の最大限活用を明記した。敦賀2号機の再稼働を認めない規制委の判断は、現政権のエネルギー政策にも少なからず影響を与える可能性がある。(白岩賢太)

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