非常に強い台風10号は、種子島や屋久島の一部を暴風域にして、今後さらに発達しながら29日にかけて九州南部に接近し、上陸するおそれがあります。九州南部では記録的な暴風や高波、高潮、大雨となるおそれがあり、気象庁は午後1時に鹿児島県に暴風と波浪の特別警報を発表しました。「ノロノロ」「急カーブ」「迷走」台風10号にまつわる疑問を広瀬駿気象予報士に聞きました。◆東に急カーブなぜ?ー九州付近で北に向かっている台風が、どうして急カーブして東に進む予想になっているのでしょうか。(広瀬駿気象予報士)台風10号の動きが遅いのは、偏西風が北方にあって、それに乗り遅れているからです。東に向かうのは、台風の西側にある高気圧が強まって、それに押し出されるようなかたちで東進すると考えられます。◆日本列島に沿って東さらに北へ進むように見えるのはなぜ?ー台風の進路予想を見ると、日本列島に沿うような形で東へ進んでいるように見えます。これはなぜですか?中心線を見ていけば日本列島に沿って東に進んでいるように見えますが、実際には東にも高気圧があって、台風10号は東西を高気圧で挟まれているような状態です。30日(金)と31日(土)の予想円を見ると重なりが大きく、ジョギングのような速度のまま、ひょっとすると迷走気味に東進する可能性もあります。ー台風の中心から遠く離れた地域で、線状降水帯(岩手県)や記録的短時間大雨情報(兵庫県)が出ているのはなぜでしょう。台風接近の影響で湿った空気が流れ込むのに加えて、北日本は前線の影響もあります。今後台風が近づけば、雨が長く続き、降り方も激しくなると予想されます。◆台風の特別警報とは?ー気象庁は、台風の特別警報を出す可能性に言及していました。台風を要因とする特別警報は「伊勢湾台風」級(中心気圧930hPa以下、最大風速50m/s以上)の台風が基準となります。今回の台風10号は925hPaまで発達する予想となっています。また「台風特別警報」というものはなく、暴風・波浪・高潮の特別警報ということになります。さらに気象庁は、「大雨特別警報」を発表する可能性についても言及しています。※気象庁は午後1時、鹿児島県に暴風特別警報と波浪特別警報を発表しました。